
うちの子ギフテッドかもしれない
「もしかしたらうちの子、天才?!ギフテッド?」と思われた方は必見。赤ちゃんの頃のギフテッドは一体どんな様子なのでしょうか。
今回は、ギフテッドの赤ちゃん(乳児期)に見られる兆候を、海外の研究結果と、わが家の例を挙げながら時系列でご紹介していきます。
ギフテッドの特徴については詳しく別の記事で紹介しています☟


ギフテッドはいつわかるのか
ギフテッドは「生まれつき」の特性と言われていますが、赤ちゃんの時にギフテッドかどうか判別するのは難しいとか、9歳以降ではないとギフテッドかどうかわからないと言われることがあります。
3〜5歳で気づく親が35%
Dembinski & Mauser(1978)の研究では、3歳〜5歳の子どもにおいて35%が親によりギフテッドとして認識されたことが示されています。
残りの65%は6歳以降になってから、学校生活や知的行動を通じて認識されたケースです。
つまり、早期に気づくためには親の観察力が重要だと言えます。
3歳〜5歳の子どもにおいて35%という数字から、0歳や1歳の段階でギフテッドかどうかを判断するのは親でも難しいことがわかりますが、Linda Kreger Silverman氏の「Early Signs of Giftedness」によると、ギフテッドの場合、赤ちゃんの頃からギフテッドの兆候が見られるとしています。
では一体どんな兆候が見られるのでしょう。
ギフテッドの赤ちゃんによく見られる特徴
Linda Kreger Silverman氏の「Early Signs of Giftedness」によるとギフテッドの赤ちゃんの特徴として、以下のような特徴を挙げています。
- 警戒心が強い
- 長い時間、物体を見つめる
- 運動能力の発達が進んでいる(例:6ヶ月くらいで歩き出すなど)
- 83%以上が1歳の誕生日までに歩き出す
- 一定期間両利きの期間がある
- 語彙を身につけるのが早い
- 喋り出すのが早い
その他にも、以下のような特徴が挙げられています。
・早ければ生後1か月ほどで、動く物体を目で追ったり、笑ったりするようになる。
・生後7ヶ月で絵本から特定のものを選ぶ、色や数字、アルファベットを覚えることができる。
全体的に成長が早い傾向があることが特徴と言えるでしょう。
ただし、ギフテッドの中には、アインシュタインのように5歳まで言葉を発しないようなギフテッドもいるので、必ずしもこれらの兆候が全てギフテッドの赤ちゃんにみられるわけではありません。
もし、早期にお子さんをギフテッドかどうかを知りたい場合は成長の記録を細かく書き留めておくと、とても参考になります。我が家は誕生した日から3歳まで育児日記をつけており、後々、生育歴を聞かれた時に、とても役に立ちました。




体験記 0歳から見えたギフテッドの兆候



ギフテッドかもしれませんよ
筆者の子どもがギフテッドの可能性を指摘されたのは、9歳の頃です。
そう言われてから、それまでの成長記録を振り返ると、赤ちゃんの頃から際立った発達がありました。
ではその書き留めていた育児日記を参考に、わが家のケースをご紹介します。
正期産 標準サイズで誕生
息子は妊娠40週、標準体重で自然分娩にて誕生しました。生まれた瞬間、ギョロッとした大きな目で私を見つめ、「あなたが母親なんだね」とでも言いたげな、深いまなざしが印象的でした。
よく寝る でも動きたい気持ちは人一倍
新生児期からよく眠る子で、毎日3時間以上しっかりお昼寝。けれど、起きている間は「見たい」「動きたい」という意欲にあふれ、頭を持ち上げたり、背中をグーっと反らせたりする動作がとても多かったです。
生後2カ月でゲラゲラ笑う
生後2カ月には、あやすと「ゲラゲラ」声を出して笑うようになり、周囲の人をよく観察して反応していました。明るく、感情表現が豊かなところも目立っていたと思います。
運動発達が早い
- 生後3カ月:寝返り
- 生後6カ月:腰がすわる→すぐにつかまり立ち
- 生後6カ月後半:伝い歩き
- 生後9カ月:2〜3歩、支えなしで歩く
- 生後10カ月:靴を履いて公園デビュー
ずり這いは少ししたものの、いわゆる「ハイハイ」の時期はほとんどありませんでした。周囲の同じ月齢の子どもたちがハイハイをしている中、一人歩いているというような差がありました。
ベビーカーが嫌い
赤ちゃんのころからとにかく「じっとしている」のが苦手。ベビーカーに長時間乗るのを嫌がり、なかなか進まないレジに並んでいる時や、電車に乗っている時など、動かないベビーカーが大嫌いでした。動かない時間が続くとぐずり出すので、電車移動は昼寝の時間に重なるように必死で調整していました。
1歳前から単語が出始める
言語面の発達も早く、生後9カ月〜1歳の頃には「バナナ」「パン」などの単語を話すように。9ヶ月ごろの記録には、「ふみきりは?」と聞くと「カンカンカン!」と答えたり、動物の鳴きまねをすると書いてありました。
定番ではありますが、簡単で、繰り返しのある絵本をよく読んでいました。最初に出てきた言葉もこれらの本の影響がありそうでした。
ギフテッドの睡眠時間は短い?
育児日記によると、5、6カ月の頃、1日のうち20時間寝ている日があったと書いてありました。
10カ月くらいまでは1日3、4回お昼寝をすることもあり、とにかくよく寝る子でした。
寝起きにぐずることもほとんどなく、起きる時はパッとあたかも寝ていなかったかのように起きます。
ギフテッドは睡眠が短いとか、寝ないと言われますが、息子はこの頃は睡眠は一度寝るととても深く、多少の音では起きませんでした。
この長時間の睡眠は9歳くらいまで続きましたが、9歳くらいから一気に睡眠が短くなります。9歳以降はやりたいことが多すぎて24時間では足りず、結局睡眠時間を削るようになりました。
ギフテッドのバイブル本によると睡眠についても記載があります。
ギフテッド児のあらゆる特性の根本に流れているのが突出した激しさで、これが、おそらくもっとも重要な特性だろう。
引用元「わが子がギフティッドかもしれないと思ったら: 問題解決と飛躍のための実践的ガイド」ジェームス・T・ウェブ p.40
激しさはかんしゃく、きょうだい間の張り合い、大人との衝突など、あらゆるところに浸透している。
睡眠パターンすら激しさを伴う。眠るときは猛烈に眠り、なかなか目覚めない。
家庭での知育遊び
知育としては、この頃こどもちゃれんじ
ちゃれんじbabyは5か月頃の特別号から月齢に合わせておもちゃや絵本が届きます。はじめての育児で何を買い与えたらよいかわからなかったので、この頃はとても役に立ちました。
こどもちゃれんじ
成長が早いと感じたら、一つ上の学年の教材を受講してみても良いかもしれません。
この頃は毎日の読み聞かせくらいしかこれといって知育らしいことはしていませんでした。
参考にしていたのはよく絵本ナビ
息子が0歳のころ好きだった絵本やおもちゃはこちらにまとめています。


1歳の成長記録と発達の特徴
幼児教室で感じた成長の差
1歳になってすぐ1回目の転勤がありました。近所に誰も友達も知り合いもいなかったので、息子と私のお友達作りの目的で近所のデパート内に入っている幼児教室に通いました。私自身は早期教育にはさほど興味はなく、早期教育のためというよりは、息子と私の友達作りが主な目的でした。
ミキハウスの幼児教室
月齢差が大きいこの時期、息子は体格こそ小柄でしたが、コミュニケーション能力や行動面で周囲に引けを取りませんでした。
第一子ということもあり、比較対象がいなかったため「こんな子もいるよね」程度にしか感じていませんでしたが、後に思えば、これはギフテッド特有の早期発達だったのかもしれません。
ミキハウスの幼児教室
1歳1カ月:音や絵本への反応
1歳の時点で耳はとてもよく、音の鳴る絵本が大好きで、音楽に合わせて手を叩いていました。
育児日記によると、キャップを回して開ける、シールを剥がす、パンケーキをフォークで刺して食べる事ができるようになったと書いてあります。
私が「きんぎょがにげたの絵本読む?」と聞くとその本を持ってくるなど話が少しずつ通じるようになってきました。当時から読み聞かせはしていた方だと思います。
1歳2~3カ月:言葉の爆発期とトイレへの関心
単語が一気に増え、「パパ」「ママ」「バイバイ」「ブーブー」「わんわん」などが出てくるようになりました。うんちが出るところんと寝転がり、おむつを持ってくるような行動も。
この時期から意思疎通ができるようになり、「育てやすい」「物分かりがいい」と感じていました。
1歳4~5カ月:体の部位や物の名前を認識
「頭はどこ?」「目は?」などと聞くと、両手で指差すことができるように。鼻、口などからだの部位を覚えたのがこの時期でした。
その他にも『こどもずかん』を使って物の名前を覚え、指差しができるようになりました。この本は特にお気に入りで、毎日繰り返し読んでいました。
1歳6~7カ月:トイトレを始める
おしっこの感覚が分かるようになり、1歳6カ月には「ちっち」と言ってトイレでおしっこができるようになりました。はじめの頃は、時間を見ながらこちらから声掛けをするスタイルで始めました。
1歳だと通常の便座はは大きくておしりがはまってしまうので、子供補助便座と足台は必須でした。色々なタイプが当時からありましたが、我が家はおまるは使わず、ステップ付きの補助便座を使っていました。使わないときはサッと壁に立てかけておけたので便利でした。


1歳8~9カ月:自立した行動と二語文
「しっこ出る!」と自分から教えてくれるように。2歳直前には大小ともにほぼ自立し、夜以外のおむつは卒業しました。トイトレは大体苦労すると聞いていたので、あまりにあっさり取れてしまい、こちらが拍子抜けするような感じでした。
その他には、靴下を洗濯機に入れる、使ったお皿を片付けるなど、自主的な行動も増えてきました。
また、二語文が出始め、「さっき○○した」「昨日○○だった」など、時系列を意識した会話ができるようになりました。
1歳10~11カ月:自我の芽生え
自我が芽生えてきて靴をはいたり着替えをするときに手を貸すと「じぶん!!」と言って怒るようになりました。
ご飯も自分で食べたがったので、自分で食べてもひっくり返らないよう吸盤付きのお皿を使用するなどの工夫をし、「自分でやりたい」という気持ちを大切に見守ることを心がけていました。
自我の芽生えとわがままは紙一重。親としては、心の余裕と時間の余裕を持って行動するようにしていました。


探究活動が盛ん
「探索活動」とは見たい、触りたい、確かめたい、といった気持ちが芽生え、初めて出会うものに対して興味を抱き、どのようなものかを知ろうとする行動です。自分で動けるようになる半年前後から始まるとされています。
とにかく動けるようになってからは、活発かつ好奇心旺盛でした。毎日のルーティーンとしてはキッチンのシンク下の扉を開け、中にしまってある食品などを全部出す。という作業をひたすらしていました。
入っているものは鰹節や春雨や海苔などのストックなのですが、パリパリした袋の音を楽しんだり、触感を楽しんだり‥。扉ガードなどがよくベビー用品で売っていますが、全部の扉をガードで閉めるのではなく、危ないものが入っていない場所は息子が遊んでもいいようにそのままにしておきました。全部一通り中のものを出すと気が済むようで、それを片付けるのが私の日課となりました。
おもちゃはつみきなど遊びが広がるおもちゃが好きでした。その他には、のりものやトミカが大好きで、本、テレビ、おもちゃは車のものが多かったです。


痛みに鈍麻
食事に関してですが、離乳食の頃からなんでも食べました。好き嫌いもなく食べることも大好きでした。ただ、すっぱいもの(みかんやレモンや酢)などが苦手でした。
ギフテッドや自閉症スペクトラムの特性として、五感が敏感、もしくは鈍麻というのがあります。
当然この頃はギフテッドなんていう言葉も知らなければ、発達障害なんてことも意識せず育てていましたが、今思い返すと痛みに関しては鈍麻だったと思います。
公園で転んでも泣かなかったり、0歳から始まる予防接種も一度に何本も打つこともありましたが、今まで予防接種で一度も泣いたことはありません。
ギフテッドの赤ちゃんのは成長が早い 30%早熟とのデータも
オーストラリアのギフテッド研究、GERRICによると、ギフテッドの赤ちゃんや未就学児の特徴として、一般的な発達の子に比べて運動能力を除いた大半の領域で30%以上発達が早いとのこと。
早くスキルを習得する傾向があり、GERRIC によって開発された以下のチャートは、長年の研究を通じて収集され、ガイドラインとして示されています。
私自身、当時はギフテッドという言葉には出会っておらず、ただ成長を書き留めていただけなのですが、当てはまる項目も多かったので、参考までに「一般的な成長過程」と、「ギフテッドの兆候のある赤ちゃんの発達」と、「息子の発達」を表にしておきます。
見るとわかるのですが、言語や全身運動や体を使うことは得意ですが、絵を描いたり字を書いたり、折り紙をしたりといった微細運動は苦手だったようで記録が曖昧でした。
全身運動の例


微細運動の例


言語認知の例


※3語文の項目に関しては、日本語で言う2語文を話し始めた時期としています。
参照 Gifted Baby / Toddler Milestones as developed by GERRIC
結局ギフテッドと何歳でわかるのか?
では我が家はいつ、どのタイミングでギフテッド2Eであるとわかったかというと、息子の場合は9歳4ヶ月で認定されました。
では、なぜ息子が9歳4カ月になるまで「ギフテッド2E(Twice Exceptional)」だとわからなかったのか。
その大きな理由の一つは、当時は「ギフテッド」という言葉自体が今ほど知られていなかったこと。そして、私自身がその概念について全く知識を持っていなかったことにあります。
もし、両親のどちらかがギフテッドの知識を持っていたり、自身がそうだった場合には、もっと早く気づけていたかもしれません。
そして、我が家の場合は育てていて「うちの子賢いかもしれない」と思ったから病院に行き、ギフテッドと認定されたわけではありません。
実際、トイレトレーニングはスムーズで、ごはんも早い段階から一人で食べようとし、意思疎通も早くからできるなど、「手のかからない育てやすい子」だと感じていました。
しかし、実際はとんでもなく育てにくいのがギフテッドなのです。
もし、親がギフテッドの知識がなかった場合、その「とんでもなく育てにくいかもしれない」と思ったときがギフテッドとわかるときなのではないかと思います。
我が家の場合、小学2年生の頃から学校でトラブルが頻発するようになります。
先生からの頻繁な連絡、友達との衝突、家でも見られる謎の行動‥
日々、予想外の出来事が起こり、親としてはその対応に追われました。
そのうちに、息子自身も「自分は周りと何か違う」と気づき始めます。
興味の対象がみんなと違う、会話が噛み合わない、といったことを言い始めました。
そして、学校では注意されても直せず、先生に怒られる回数も増え、何か発達の問題があるのではないかと思い、発達の専門クリニックを受診します。
そこで実施されたのがWISC-4(ウィスク)という知能検査でした。
結果は、非常に高いIQであると同時に、スコアに大きな凸凹(発達のアンバランス)があることが判明します。
このとき、初めて「ギフテッド2E」という言葉と向き合うことになりました。
ただし、ギフテッドといっても、その姿は本当にさまざまです。
100人いれば100通りのギフテッドがいると言われるほどで、「いつ」「どんな形で」その特性に気づくかには大きな個人差があります。
誰かと比べて「うちの子は違うのでは?」と焦るのではなく、その子自身のペースや特性を見守ることが何より大切なのだと思います。
当時の様子や検査結果の詳細については、別記事でご紹介しています。




また、必ずしもギフテッドの赤ちゃん期が上記のような成長過程というわけではなく、あくまでも息子の場合の成長の記録となりますことご理解ください。
【2歳の頃へつづく☟】


わが子が医師に「ギフテッドかもしれない」と言われた時代にはまだ出版されていなかった本ですが、もしお子様や身近な方で思い当たる人がいらっしゃる場合、下記の本を一読することをお勧めします。見事に当てはまるので是非手にしてみてください。



