「ギフテッドって顔立ちで分かるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
ギフテッドには特徴的な外見があるという話を聞くことがありますが、結論から言うと、ギフテッドの顔立ち自体に特有の特徴があるという科学的な証拠はありません。
現在までの研究では、顔つきや顔立ちでギフテッドかどうかがわかるといった信頼性の高いデータは見つかっていません。
しかし、ギフテッド児は「表情」や「態度」「目の輝き」など、非言語的な要素で特有の印象を与えることが多いとされています。
ギフテッドってどんな人?
「ギフテッド」という言葉を聞いたとき、皆さんはどんな人を思い浮かべますか?
「ギフテッド」とは、具体的には以下のような特徴があります。
- 知的能力の高さ: IQ130以上の高い知能を持つことが一つの目安。
- 特定分野での才能: 数学、音楽、芸術など、ある特定分野における卓越した才能が見られる。
- 感受性の強さ: 感情や共感力が高く、過度に敏感な一面も。
- 独創的な思考: 深い思考をする傾向があり、新しいアイデアを生み出す力がある。
これらの特徴から、もしかすると「頭が良さそうな顔立ち」「落ち着いた雰囲気」「大人びた表情」など、顔つきや見た目に何らかの共通点があるのでは?と感じる人もいるかもしれません。
しかし、実際には顔立ちだけでギフテッドかどうかを判断することはできません。一方、複数の専門家たちは、ギフテッド児に顔立ちではなく、次のような非言語的特徴が見られると報告しています。
ギフテッド児の特徴的な表情と態度
- 感情表現が豊か: ギフテッド児は表情が豊かで、細かい表情の変化が見られる。(Piechowski, 1997)
- 集中した眼差し: 何かに集中しているとき、眼差しが鋭く、周囲に強い印象を与えることが多い。(Gross, 1993)
- 大人びた雰囲気: 子どもでも、大人びた態度や振る舞いをすることがよくある。(Winner, 1996)
- 知的な印象を与える: ギフテッドの人々は、直感的に「知的そう」と感じさせることが多い。(Silverman, 1993)
つまり、顔そのものではなく、「表情」や「振る舞い」が賢さを感じさせる要因といえます。
Gross (1993) 『Exceptionally Gifted Children』では、ギフテッド児の特徴のひとつとして、集中しているときの目の鋭さや強い眼差し(piercing gaze) について言及されています。
具体的には、
- 非常に高い集中力を発揮しているとき、周囲から見ると非常に鋭い眼差し、吸い込まれるような目つきをしている
- 課題や対象に対する没頭の深さが、視線や表情に表れる
- 特に知的好奇心が刺激されたときには、顔全体から強い集中のオーラのようなものを放つ
といった描写がされています。
つまり、Grossによると、ギフテッド児の顔そのものが特別というよりも、集中しているときの表情(特に目元)が周囲に強い印象を与える、とのことです。
ギフテッドとして知られる有名人の例(日本人・海外含む)
では、ギフテッドとされる有名人には、どのような人がいるのでしょうか?顔がパッと思いつく方を挙げてみました。
海外に比べて「ギフテッド」という言葉自体が日本ではあまり一般的ではないたため、日本人で公式にギフテッドと認定された人は少ないです。そのため、ギフテッド相当と考えられる人たちをご紹介します。主観も含むためご了承ください。

アルベルト・アインシュタイン(物理学者)
相対性理論を提唱し、物理学の世界に革命をもたらした物理学者。抽象思考力・独創性。ユーモアを交えた表情が印象的で、深い思索を感じさせる眼差しを持っていたとされています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(芸術家・科学者)
芸術だけでなく、発明家、科学者、解剖学者、エンジニア、数学者など、あらゆる分野において驚異的な才能を発揮。深く物思いにふけるような眼差しや集中を感じさせるものがあります。
藤井聡太(将棋棋士)
若干中学生でプロ入り、天才的な読みと記憶力、AI的思考と呼ばれるほど。対局中の落ち着いた雰囲気が、年齢よりも大人びた印象を与えます。
山中伸弥(医学者・ノーベル賞受賞者)
革新的な発想力(iPS細胞の開発)。常に冷静沈着で、慎重な判断を感じさせる表情。
米津玄師(シンガーソングライター)
音楽センス、独自の世界観、マルチな芸術能力(絵画・映像制作)。ASD傾向を公表しており、2E(ギフテッド+発達特性)型の可能性が高い。表情に繊細さ、オーラを感じます。
非言語的サインの影響
知能と顔立ちには直接的な相関はないとされるものの、心理学研究によると、人は顔から無意識に「知的そう」「有能そう」と判断してしまう傾向があり、「人の印象」は顔つきや目の動き、表情、話し方などから総合的に形成されると考えられています。
ギフテッド児の見た目が「賢そう」に見えるのは、印象や本人の雰囲気によってそう見えるといった、顔以外の非言語的サインによるものが大きいのではないでしょうか。
ギフテッドかどうかを見分ける本当のポイント
ギフテッドかどうかを判断するには、以下のような視点が重要です。
- 興味関心ごとへの集中力の高さ
- 高度な言語表現・論理的思考
- 知能検査(WISCなど)による数値的評価
- 感受性や感情の扱い方
ここまで、ギフテッドの見た目についてお伝えしてきましたが、個人的には見た目や雰囲気だけで決めつけることに意味はないと思っています。ギフテッドかどうか外見で判断するのではなく、行動・言動・学び方の違いに内面の知的好奇心や感受性をしっかり見守ることが大切です。
参考文献
- Gross, M. U. M. (1993). Exceptionally gifted children. Routledge.
- Silverman, L. K. (1993). Counseling the gifted and talented.
- Winner, E. (1996). Gifted children: Myths and realities. Basic Books.