IQ120はどのくらい?WISC-IVの差が大きいと発達障害なのか

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WISCの差が20・30・40ある

「IQ120って高いの?」「どのくらいのレベルなの?」
「WISCの結果の差が大きいと発達障害なの?」
「IQってどれくらいからギフテッドなの?」

発達や学校生活で困りごとがある場合、先生から「WISC検査を受けてみませんか」と勧められることがあります。WISCはIQ(知能指数)を測る検査と思われがちですが、実際には子どもの知的特性や強み・弱みを知るためのツールでもあります。

WISCは検査結果の数値を見ただけでは、なかなかその数値の意味までは分かりづらい検査です。

この記事では、9歳の息子が受けたWISC-Ⅳ(知能検査)の結果をもとに、IQの目安、指標間の差(ディスクレパンシー)の意味、そして支援方法まで詳しく解説します。

9歳の息子が受けたのは、当時最新のWISC-Ⅳ(現在はWISC-Ⅴが最新版)。内容は担当医・心理士・支援センターの見解に基づいています。

目次

知能指数・IQとは

IQとは、Intelligence Quotientの略で、知能の水準を数値で表したものです。

知能が高いほどIQの数字が大きくなり、知能が低いほど数字は小さくなります。ただし、勉強ができるできないといった頭の良し悪しを判断するものではありません。

WISC(ウィスク)とは

WISCは5歳から16歳11か月の子どもを対象とした知能検査です。IQだけでなく、記憶力や処理能力、理解力なども測定でき、発達障害や学習困難の支援に役立てられています。

検査時間は通常1〜2時間ですが、完璧主義の息子は4時間以上かかりました。

幼児用はWPPSI、大人用はWAISが別にあります

検査には集中力が必要なため、小学校入学後の受検が推奨されます。

WISC(ウィスク)知能検査はどこで受けられる?

・精神科や心療内科などの医療機関
・民間のカウンセリングルームや療育施設
・公的機関の児童相談所や支援センター

知能検査を受けたい場合は、精神科や臨床心理士のいる病院で受けることができます。

また、児童相談所や支援センターなど、公的な機関でも受けることができます。民間のカウンセリングルームや療育施設などでも受けることができます。

WISCの検査は機械的なテストではなく、人間が人間を検査するので、誤差がでることがあり、検査する側の人間の経験が非常に大事になります。

時間もかかる検査のため、片手間でできるような検査ではなく、専門知識のある経験豊富な機関で受けないとあまり意味がありません。

費用については、支援センターなどの公的機関で行う場合は無料または低コスト、病院の場合は有料で受けられることが多いです。

金額も大事ですが、先ほども述べたように、検査する側の経験値が重要になってくるため、信頼できる機関で受けることをお勧めします。また、インターネット上で出てくる無料のIQテストとは、目的・精度・信頼性などが大きく異なるため注意が必要です。

検査の具体的な内容や、問題例などは非公開となっており、一度受けたら数年は空ける必要があります。

全検査IQ(FSIQ)と4つの指標 

この知能検査WISC-Ⅳは、全検査IQ(FSIQ)と4つの指標(言語理解、知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度)から構成されています。

FSIQ(Full Scale IQ)とは、WISCやWAISで算出される全体的な知能指数のことです。全検査IQ(FSIQ)だけでは特性の偏りまではわかりません。

WISC知能検査の検査内容と分かること

参照 日本版WISC-IVによる発達障害のアセスメント ‐代表的な指標パターンの解釈と事例紹介

4つの指標

10種類の基本下位検査と、5種類の補助下位検査で構成されています。得点は、全検査IQ(FSIQ)と4つの指標得点の合成得点として算出されます。

指標名内容・説明
言語理解(VCI)言葉による推理力・表現力・語彙力を測る指標。
聞いた内容を理解し、自分の言葉で説明したり、論理的に考える力を示します。
知覚推理(PRI)図形や空間など、視覚情報を使って考える力。
見た情報を整理してパターンを見つけたり、構造を理解する力を示します。
ワーキングメモリ(WMI)複数の情報を同時に記憶・処理する力。
短期的に情報を保持しながら、思考や判断を行う能力を示します。
処理速度(PSI)見た情報を素早く正確に処理する力。
単純作業や書き写し、反応速度など、作業効率の速さを示します。

各指標が高い場合と低い場合の特徴

指標の数値を読み解くと、得意・不得意が見えてきます。

スクロールできます
指標名高い場合(得意・強み)低い場合(苦手・困りごと)
言語理解(VCI)・語彙が豊かで会話が上手
・本や物語が好き
・論理的な会話や説明が得意
・言葉での指示を理解しにくい
・説明が苦手、表現が単調
・作文や読解が苦手
知覚推理(PRI)・図形・パズル・地図が得意
・視覚的な記憶が強い
・理科・美術などの実感的理解に強い
・空間把握や図形の理解が苦手
・工作や絵が苦手に見える
・説明を図でされても理解しにくい
ワーキングメモリ(WMI)・暗算や順序立てが得意
・複数の手順を同時にこなせる
・要点を整理できる
・「〜してから〜して」が苦手
・指示をすぐ忘れる
・文章や問題の途中で混乱する
処理速度(PSI)・作業が早く正確
・反応が速い
・テストや課題の効率が良い
・書く・読むの動作が遅い
・作業効率が悪い
・テストで時間切れになる

検査を受けたあとに最も大切なのは、「数値そのものを見ること」ではなく、そこから何を読み取り、どう支援につなげるかです。

必ずしも、全員に当てはまるわけではないですが、検査結果の数値から、以下のような特徴が見えてくることがあります。これらを、学習に活かすことで支援につながります。

VCIが高くPRIが低い → 聴覚優位・言葉で理解するタイプ

PRIが高くVCIが低い → 視覚優位・図で理解するタイプ

WMIやPSIが低い → ギフテッド2EやASD傾向の子に多いパターン

ディスクレパンシーとは

ディスクレパンシー(discrepancy)」とは、心理検査や発達の分野では「」を意味します。指標間の得点差を「ディスクレパンシー」と呼びます。

差が30とは?

例を挙げると、

・言語理解(VCI)=120
・ワーキングメモリ(WMI)=90
→ 差30 = ディスクレパンシー

この指標間の差(ここでいうと差:30)のことを「ディスクレパンシー」といいます。諸説ありますが、合成得点の差異が15から20以上の差があると発達凸凹があるとされています。

このように、得点に大きな開きがあるとき、 「ディスクレパンシーが大きい」と言います。ちなみに、息子はこの差(ディスクレパンシー)が50くらいありました

WISC-Ⅳの差が大きいと発達障害?

目安・意味
0〜10ほぼ差がない、バランス型
11〜15やや差がある、注意が必要
16〜30明らかに差がある、凸凹型の可能性あり
30以上大きな差、生活や学習に影響が出やすい
50以上非常に大きな差、支援が必要になることが多い

凸凹があったり、差が大きいからといって必ずしも発達障害というわけではありません実際に、息子はASD傾向があるものの、発達障害の診断はつかないと言われました。

凸凹があったとしても、凸の部分でカバーができたり、日常生活で大きな問題を抱えていなければ、発達障害の診断はつかないとのことでした。

WISC-Ⅳの差が大きいとどうなる?

発達障害の診断が付かなくとも、この差が大きければ大きいと、生活のなかでの困りごとがでてくることがあります

ディスクレパンシーが15から20くらいあると起こる問題として以下のようなことが挙げられます。

  • 得意な部分と苦手な部分の差が激しくて、周囲から誤解されやすい
     (例:「頭が良いのに、なぜこんな簡単なことができないの?」)
  • 学校の勉強や人間関係で困りごとが生じやすい
  • 実際に発達障害(特に学習障害やADHD)と関係がある場合も

ただ、数値だけで診断されるものではなく、本人の困り感や、様々な日常生活における聞き取りなども重要になります。

また、支援を考える際には、全検査IQではなく4つの指標のバランスを見ることが大切です。

IQの平均値と人口の割合

IQの平均値は100であり、半数はIQ90~109に当てはまることになります。また、IQ70–130の間に約95%の人が収まることになります。

以下の図はIQ分布図です。IQ分布図とは、世の中の人々のIQ(知能指数)がどのように分布しているかを示したグラフです。IQは平均が100、標準偏差が15で測定されることが一般的で、左右対称のベル型カーブ(正規分布)で表されます。

一般的に、高IQだと「生きづらい」と言われることがありますが、これはIQ130以上だと全体の2%の割合に値し、マイノリティーに値するため「生きづらい」と、通っていた発達クリニックの専門医に言われました

IQ分布図
出典:Wikipedia Commons
全検査IQ(FSIQ) 全体の中の割合(%)
130以上非常に高い2.3
120~129高い6.8
110~119平均の上16.1
90~109平均49.5
80~89平均の下16.1
70~79低い6.8
69以下非常に低い2.3

ギフテッド2E児のWISC-Ⅳの結果

ギフテッド2E児のIQ

全検査IQ(FSIQ)というのが、一般的に知能指数として言われるものです。
ここでは、正確な数字は書かず少しぼかしておきますが、上記のグラフは息子のWISCの結果です。

全検査IQ(FSIQ)は130以上。言語理解に関しては155以上でこれ以上の数値は判定不可となりました。

さらに細かいことをいうと、言語理解と知覚推理を「一般的能力指標(GAI)」と言い、ワーキングメモリーと処理速度を「認知熟達度指標(CPI)」というのですが、一般的にギフテッド児は、言語能力や知覚推理(GAI)が高く、ワーキングメモリーと処理速度CPI)が低い子が多い傾向があるとのことでした。

息子はまさに当てはまり、このGAIが140を超えています。

WISC-Ⅳの結果からわかること

息子の検査結果からわかることとして、以下のようなことを言われました。

結果からわかること
  • 言語理解が最も高く、ワーキングメモリが最も低い
  • 低いものでも平均値よりは全て高い
  • 合成得点の差(ディスクレパンシー)がかなり大きい
  • 本人の中で強みと弱みのばらつきがある
  • 聞いた情報を短期的に記憶しておくことが苦手
  • 長期記憶は得意
  • 単純なことを素早くこなすことが苦手
  • 皮肉の表現が伝わりづらい
  • 知的能力に比べると他者心情の読み取りが幼い
  • 耳と口のコミュニケーションが優秀

どんな支援方法があるか

また、息子の場合どのような支援方法があるかについては以下のように言われました。

支援方法
  • 得意を伸ばす
  • 聞いて処理するよりも視覚的に見て考えるほうが得意なのでスケジュール表などを利用する。但し情報量が多すぎるとどこに注目したらよいかわからないため、シンプルなほうが良い
  • 視覚刺激を提示する際は、情報量を絞って、言葉での説明を加える。手順を示し続けてワーキングメモリの弱さに配慮する
  • 能力のばらつきが非常に大きいので、大人側の要求水準を高くしすぎない
  • 言語理解の高さを利用し、言葉で論理的に説明し本人の中で折り合いをつけていくとよい
  • 長期記憶はすぐれているので、長期記憶にしてしまうまで繰り返すという方法で定着させることができる
  • 学校では難易度の高い学習教材を用意すること

人はそれぞれ違う。目に見える違い(肌の色、髪の色、顔など)と見えない違い(血液型、性格など)があり、脳にもそれぞれ違いがある。
その違いを正しく知って自分の癖を知ることが大事で、IQテストは自分の癖を知るためのもの。そこで自分の困った癖がわかったら、困らないように工夫をしていけばいい。

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IQ120はギフテッド?

ではIQいくつからギフテッドなのでしょうか。

以前はIQ130以上をギフテッドとしていたこともあるようですが、現在は一つの目安とされています。

IQの範囲ギフテッドレベル
IQ115〜IQ129マイルドリーギフテッド
Mildly Gifted
IQ130〜IQ144モデレートリーギフテッド
Moderately Gifted
IQ145〜IQ159ハイリーギフテッド
Highly Gifted
IQ160〜IQ179エクセプショナリーギフテッド
Exceptionally Gifted
IQ180以上プロファウンドリーギフテッド
Profoundly Gifted

ギフテッドにはランクがあり、知能指数によって呼び名が変わります。

上記の表によると、IQ115からIQ129の場合も「マイルドリーギフテッド」と呼ばれています。つまり、IQ120は全人口の上位約10%に位置しており、マイルドリーギフテッドに値するということになります。

IQ120がどのくらいかというと、明確なデータはありませんが、わかりやすく大学で表すと「東大生の平均IQは120~130程度」と言われています。偏差値で換算すると64くらいだとか。

だからと言って東大生がみんなギフテッドかというそうとは限りません。東大生の中には、間違いなくギフテッド的な特徴を持った人もいますが、コツコツ学習する努力型の優秀な学生はギフテッドとは限りません。

中学受験に関しては、わが家は小学6年生まで塾なしでしたが、6年生で受けた四谷大塚や日能研の模試では一度も偏差値は64にはいかなかったので、一概に偏差値が64というわけではありません。

また、芸術やリーダーシップなどもギフテッドの才能の一つとして考えられていますが、芸術やリーダーシップなどは知能検査では測ることができません。

ギフテッドかどうか判断する際には、IQはあくまでも目安となり、IQだけでギフテッドかどうか判断できるものではありません。

現に、息子の場合は結果的にIQ130以上でしたが、知能検査の前に生育歴や本人との会話を通じて医師から「ギフテッドかもしれない」と言われていました。

これらのことから「IQ130」ないからギフテッドではない、というわけではないということと、IQが〇以上だからといってギフテッドが決まるものではないというのがお分かりいただけたのではないでしょうか。

知能検査(WISC)を受けるメリットとは?

私としてはこのタイミングでWISC-Ⅳを受けることで息子の特性を知ることができ、適切な支援への糸口になりました。

WISCの結果は、子どもを評価するためのものではなく、「どう関わると力を発揮できるか」を知るための資料です。

たとえば、

  • 聴覚優位なら口頭説明より実物や図で見せる
  • ワーキングメモリが弱ければ一度に言う指示を減らす
  • 処理速度が低ければ急かさずに待つ

といったように、日常での接し方が変わるだけで子どものストレスが大きく減ります。

検査はあくまでも「スタート地点」です。そこからどう支援していくか、どう関わるかが大切なのだと思います。

検査は何時間もかかるものの、ひとつひとつの数字の結果について詳しい説明はありませんでした。この結果の数字が何を意味をするのか、もう一段階深掘りしたかったので、このWISC-Ⅳの解釈について書かれた本「日本版WISC-IVによる発達障害のアセスメント ‐代表的な指標パターンの解釈と事例紹介」を購入しました。様々なパターンが載っており、息子がどのパターンが近いか当てはめて分析することで、更に理解が深まりました。

検査を受けたものの、数字の意味が分からなかったり、結果の詳しい見方を知りたい方にはお勧めです。

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