発達障害・グレーゾーンの子に合う習い事とは?
発達障害やグレーゾーンの子どもを育てる中で、「どんな習い事が向いているのか?」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
多動傾向、感覚過敏、こだわりの強さ、対人不安などその子によって課題はさまざま。
集団のレッスンが合わず疲れてしまったり、ペースを合わせられずに自己肯定感を下げてしまうケースもあります。
そんな中、一人で取り組めて、達成感を得やすいピアノは、特性のある子にとって非常に相性の良い習い事のひとつです。
発達障害やグレーゾーンのお子さんでも、ピアノに挑戦できる可能性は十分にあります。
本記事では、ピアノがなぜ発達特性を持つ子どもに効果的なのか、実体験や専門的視点を交えて詳しく解説します。
発達障害の特性を持っていたとされる有名な音楽家たち
まずはじめに、歴史上の発達障害やそれに近い特性を持っていた、あるいはその可能性があるとされる音楽家についてご紹介します。現代の医学的診断がなかった時代の人物も多いですが、行動の特徴や記録から「発達障害的傾向があったのでは」と推測されているケースがあり、実は意外と多くいます。
1. モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)
- 多動、衝動的な言動、音への非常に鋭い感受性、並外れた記憶力などの逸話が残っています。
- 現代の観点から見ると、ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があった可能性があると指摘する研究者も。
2. ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)
- 社交的に不器用で、気分の浮き沈みが激しく、対人関係に苦労していたことが多かったとされています。
- 感覚過敏や強いこだわりも報告されており、ASDの傾向を指摘する説もあります。
4. エリック・サティ(Erik Satie)
- 独自の世界観とルールにこだわる作風。対人関係が苦手で孤独を好み、非常にユニークな生活スタイルを貫いたことで知られます。
- ASD的な要素があると見られることも。
発達障害のこんな特性が才能につながるかも
発達特性がある子の中には、たまに音感やリズム感がずば抜けて良いというお子さんがいます。
発達障害の特性の中には、
- 並外れた集中力
- 感覚の鋭さ
- 規則性への感受性
- 独創的な発想
など、音楽的な才能と深く結びつくものも多くあります。
ピアノは、発達障害やグレーゾーンの個性を強みに変えていく方法のひとつになり得るのです。
ただし、ピアノを習ったから発達障害の症状がなくなるといったことではないのでその点はご注意の上お読みいただけたらと思います。

発達障害やグレーゾーンの子にピアノの習い事がおすすめな6つの理由

1. 感覚統合のサポート
ピアノは「楽譜を読みながら、手を動かし、ペダルも使う」というように、「見る・聞く・触れる」など、複数の感覚を同時に使うため、感覚統合を促す効果が期待できます。視覚、聴覚、触覚のバランスを取る練習にもなります。脳の発達も促します。
脳科学者として全国的に知られる澤口俊之先生(人間性脳科学研究所所長、武蔵野学院大学・大学院教授)は、「人生の 成功に関係する全ての基礎がピアノで高められる」と力説するほど。

2. 集中力・注意力の向上
ピアノを弾くには集中力が必要です。短い時間でも「一つのことに集中する練習」としてとても有効です。一曲、一曲を仕上げていくという達成感を積み重ねることで集中する力が育ちやすくなります。
3. コミュニケーションのツールになる
言葉での表現が苦手なお子さんでも、音楽を通して気持ちを表現することができます。また、先生とのやり取りの中で、自然に対人スキルも育まれていきます。息子は作曲を学んでいますが、作曲は自己表現の一つになっています。
4. 自己肯定感のアップ
「できた!」「上手になった!」という成功体験が、自己肯定感の向上につながります。音楽は結果が目に見えやすいので、成長が実感しやすいのも魅力です。
コンクールや発表会に出ることも、自信につながります。人前で弾くことは緊張しますが、終えた後の達成感や充実感は、なかなか他では味わえないものがあります。
5. 構造的な活動で安心感がある
楽譜に沿って進める活動は、「何をするか」が明確なので、見通しが立ちやすく、不安を感じやすいお子さんにも安心して取り組みやすい習い事です。
6. 個別対応しやすい習いごと
ピアノはマンツーマンのレッスンが基本なので、お子さんの特性に合わせた指導が可能です。無理なく、その子のペースで進められる点も大きな魅力です。
ピアノ教室の選び方 発達特性のある子に合う教室とは?
ピアノに関しては、指導者とお子さんの相性がとても大事です。単にピアノの技術があるだけでなく、子どもの特性や感情に寄り添えるかどうかがとても大切なポイントになります。
最近では、発達支援の経験を持つピアノ講師や、音楽療法の視点を取り入れている教室も増えています。
地域名+「発達 ピアノ教室」で検索すると、対応可能な教室が見つかりやすいです。
息子もとても先生との相性を重視しており、引越しのたびに、自身が納得するまでいくつもの教室の体験をするのですが、息子をみていて、こんな先生だったからここまで続けてこれたのではないかと思う点をご紹介します。
・発達障害や特性についてある程度理解がある
・柔軟なレッスン形態(進度や教材を個々のペースに合わせてくれる。)
・形式や慣習にとらわれない方法で教えてくれる
・個人を尊重してくれる
・頭ごなしに怒らない
発達特性があるお子さんの場合、一般的にピアノのレッスンといえば「コレ」というような、定番の教材を嫌がることもあるかもしれません。実際に息子がそうだったのですが、ハノン(指の体操のような教本)やバッハといった誰しもが通るような教材は本人がやりたがらず、小学生高学年からはほぼ取り組んでいません。
発達障害のある子どもへのピアノの教え方は、子ども一人ひとりの特性に寄り添いながら、「できた」を積み重ねていくような工夫がカギになります。
「上手に弾くこと」よりも、「ピアノを楽しむ」「音楽を通して自信を持つ」ことを大切にする教え方が、結果的に子どもの力を引き出していきます。そんな先生に出会えたら、きっと楽しく続けられると思います。
息子がピアノを10年続けた効果【体験談まとめ】
息子はこの春、ピアノを始めてからちょうど10年を迎え、自らレッスンを卒業する決断をしました。
理由は、学業や部活動との両立が難しくなったと言っていましたが、本音では「レッスンを続ける意味を自分の中で見いだせなくなったから」だと思われます。
卒業への決断には本人の中で葛藤もあったようでしたが、やめたからといって、音楽そのものが彼の中から消えることはありません。
今、ピアノは、息子にとって単なる習い事を超え、自己紹介でも「特技」として挙げるほど、アイデンティティの一部になっています。
10年間続けたことで得られたものは、想像以上にたくさんありました。
- 「ピアノは自分の特技」と胸を張れる自信
- 音楽を通じた自己肯定感の向上(演奏を評価される体験を通して)
- 発表会やコンクールなどステージ経験を重ねたことによる、計画力・本番力の習得
- 失敗から学び、自ら改善策を考える内省力の成長
- 「変わった子」という印象を一瞬で覆す、「すごい」と周囲を驚かせる体験
特に発達特性のある子にとって、音楽を続けることは心の支えになりやすく、「好き」を軸にした自己肯定感や、社会との接点を持つ大きな手段になります。
10年間積み重ねた経験はこれからも彼の中に根づき、人生を豊かにしてくれることでしょう。
以上、発達特性やグレーゾーンのお子さんにピアノの習い事がおすすめな理由についてお伝えしました。少しでもピアノの習い事を始めるきっかけになったら嬉しいです。
当ブログでは、ギフテッド2Eの特性をご紹介すると同時に、発達凸凹ありの息子が10年間続けてきたピアノに関しても綴っています。よろしければ、主要な記事を以下にまとめていますのでご覧ください。