- 時間通りに行動ができない、やらないといけないことを後回しにしてしまう、遅刻も直らないのはどうしたらいい?
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ギフテッドや発達障害の特性がある場合、社会性はゆっくり育つとされています。スケジュールを可視化したり、余裕を持って時間を伝えたりあれこれ試みましたが、一番効果的だったことは成長を待つことでした。こちらが成長を待つことも支援の一つかもしれません。
子どもの「時間感覚のずれ」、悩んでいませんか?
「やらなきゃいけないのに後回しにする」「いつも時間ギリギリ」「遅刻が直らない」
そんな悩みは、特にギフテッドやADHD、ASDなどの特性をもつお子さんに多く見られます。
ADHDやASDなどの発達障害をもったお子さんは特有の時間感覚を持っており、時間の管理が苦手な傾向があります。遅刻というのは発達障害の人には非常に多い特徴だそうです。
息子の場合も、小学生の頃、時間に関しては朝から晩まで声をかけていました。こんなに声をかけられたらそりゃうるさいし、煩わしいだろうな、と私自身も思いながらも、声をかけないと事が進まないので仕方なく声をかけていました。
ちなみに息子は、なんでもいつでも時間にルーズかというと、決してそうではありません。「マイペース」ともまた違い、どちらかというと「1分たりとも無駄な時間は許せない」という考えのもと行動していました。結果遅刻をしたり、時間の見積もりが甘いということが出てきます。
ADHD・ASDに見られる時間感覚のズレとは?
ADHD(注意欠陥・多動症)の子によくある例
- 約束や予定を忘れる
- 準備に時間がかかりすぎる
- やるべきことを先延ばしにする
- 気が散りやすく、計画通りに動けない
「不注意」「衝動性」が原因で、時間を意識するのが苦手です。
また、一つのことをしていても、注意散漫や衝動性により、別のことが気になってしまい、計画通りに進められなかったり…ということが出てきます。
時間感覚が鈍いのも、「時間」というものに対して注意を払えないからとされており、不注意症状に分類されるそうです。

ASD(自閉症スペクトラム)の子によくある例
- 突然の変更に対応できない
- 集中していることを中断できない
- 時間配分よりも“こだわり”が優先される
「柔軟な切り替え」や「優先順位づけ」が難しく、結果として時間のズレが起こりがちです。
実体験 ギフテッド2Eの息子の時間感覚
ギフテッド2Eの息子の時間感覚は独特です。一例をご紹介します。「忘れてる」のではなく、自分の時間軸で動いているのが特徴的でした。
息子も時間の管理はとても苦手で、小学生のうちは本当に頭を悩ませました。本人は全く悩んでいないのが厄介で、全てことがうまくいっていると思っているのも厄介でした。
息子の場合、ADHDやASD傾向によるものもあるにはあるのですが、「約束そのものを忘れる」といったことはありませんでした。
どちらかというと、常に時間に関しては計算しつくして動いており、「損」をしないためにめいっぱい時間を使う故に遅刻する。というような感じでした。
学校は一度も遅刻はしたことはないですが、門限は逆に一度も守ったことがありません。門限を破ったところで母に怒られるだけで、その程度なら10分でも長く遊んだほうが得だから守らないようです。
とはいえ、これでは社会に通用しないので、小学生のうちはあれこれ策を考えました。
実行機能の弱さが原因かも?
時間感覚の問題の背景には、「実行機能(Executive Function)」の弱さが関係していることがあります。
実行機能とは?
【実行機能とは?】
実行機能とは、目標を達成するために、計画を立て、自分の行動や思考、気持ちを調整する脳機能のこと。
引用元 実行機能とは
ここでいう目標とは、「将来の目標」のような大きなものではなく、日常生活の中で自分のしたい・すべき行動すべてを指します。
例えば、着替えをする・料理をする・お風呂に入る・家から待ち合わせ場所まで移動する・効率よく仕事をする…など日常の行動すべてに必要な能力です。
この機能が弱いと…
- 時間の見積もりが甘い
- 手順を忘れる
- 優先順位がつけられない
- 注意がそれやすい
といった問題が日常的に起こります。
時間管理を身につける5つの工夫

① やるべきことを見える化し、優先順位をつける
実行機能の弱さにより、かかる時間が正しく見積もれなかったり、必要な準備の過程を失念し、考慮に入れないまま計画を立ててしまったりします。
頭の中で整理できないなら、見える化して整理します。
紙に書くでももちろん良いのですが、「ToDoリスト」や「やることボード」を活用しながら優先順位をつけるのもおすすめです。
② 時間を区切ってルーティン化する
やるべきことの優先順位を理解できたら、大体やるべきことの時間がそれぞれどのくらいかかるか円グラフ化します。
我が家は学校を帰宅してから寝るまでの時間をグラフ化していましたが、食事やお風呂といった時間を除くと時間はあるようでないことに気づきます。
- ピアノは20:30〜21:00
- ゲーム、勉強も時間でブロック
- 「いつ何をするか」を毎日同じにする
帰宅後から寝るまでのスケジュールをグラフ化したことで、やりたいことをどう配分するか考えるようになりました。
③ 時間を視覚化して意識させる
- 色分けした予定表(赤:習い事、青:病院など)
- タイマーやカウントダウン時計の活用
- 見てもらえない場合は、声かけをプラスで!
1日のスケジュールと、月単位のスケジュールを赤→習い事、青→病院、黒→その他の予定など色分けをし、視覚的に訴えるようにしました。
しかし当然見ていないこともあるので、プラスで朝に声掛けもしました。
④ 余裕をもって早めの時間を伝えておく
- 10:00に出発なら「9:45に出るよ」と伝える
- 電車も1本早く設定しておく
- 本人には気づかれず、遅刻を防げるテクニック
例えば病院などは予約時間が決まっています。あらかじめ少し時間にゆとりがある時間の電車に乗り、時間通り動くことで、「時間に遅れない感覚」を身につけさせるようにしていました。
⑤ 医師や第三者の言葉を活用する
親が言うよりも専門的な医師に一言アドバイスをもらうことで、本人の意識にすっと届くことがあります。
医師からの「大人を待たせるのは長くて15分。大人と付き合うときは大人の社会のルールに従わないといけない」という言葉が、本人には強く響いたようでした。
親の言葉では届かない部分も、専門家の一言で変わることがあります。
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中学生になったらどうなったか
中学生になった現在、息子は時間管理が自然とできるようになりました。
- 自分で起きて、決まった時間に電車で登校
- ピアノ・ゲーム・勉強の時間配分も自分で管理
- 自然にお風呂・歯磨き・就寝もできるように
2年前では考えられない姿です。
もちろん、成長がすべてではありませんが、「できるようになる時期」は確実に来るのだと感じています。
まとめ
ギフテッドや発達障害のあるお子さんが「時間通り」に動くのは簡単なことではありません。
でも、実行機能を育てること、そして成長を信じて待つことが、時間感覚を整える第一歩になるはずです。
時間通りに動けない、時間感覚がおかしい、と相談した時に医師から言われた印象的な言葉をご紹介します。

「まだ10歳でしょ?社会に出るまであと10年もあるから、社会に出るまでに身につけばいいんじゃない?それまでは失敗したり、痛い目見たりして学んでいくから。」
今すぐなんとかしようと思ってもならないこともある、と気付かされた一言でした。


