- 発達特性を本人にいつ、どう伝える?
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「ギフテッド2E」というのは、ギフテッドの特性に加えて、発達特性も持ち合わせています。その特性ゆえ、生活の中で困り感が色々な場面で出てきます。本人が周りとうまく関われないことに気づきだしたり、違和感を持ちだしたらそろそろ自分の特性も理解できるかもしれません。
今回は本人へ発達特性の告知をどのように伝えるかについてです。
こちらの「ギフテッド児のお悩み別Q&A」のカテゴリーでは、実体験に基づいた筆者なりの考えをまとめています。
今まで、数々の医療機関・専門機関を受診して受けたアドバイスや、専門書に基づいて実際にやってみてうまくいったこと、いかなかったことについて記載しています。
ギフテッド児もさまざまなタイプがいるため、その子によっては効果がない場合もございます。その旨ご理解の上、参考にしていただければ幸いです。
発達特性を本人に伝える年齢やタイミングは?
結論から言うと、どのタイミングで伝えるかは基本的には家族のタイミングで良いと思います。
はっきりいつが良いという時期が医学的にあるわけではないため、その子のタイミングで伝えることになります。
よしとされている年齢も決まっていませんが、本人に伝えるタイミングは、発達障害情報・支援センターのHPによると以下のように記載があります。
息子はまさに2番目の自尊心が低下した時期にしました。
- まわりの同年代の子どもとのちがいに気づき始めた学童期
- 学業や友人関係につまずき自尊心が低下した思春期
- 進学や就職など適性に沿った進路選択に悩む青年期
- 職場での対人関係や仕事が思うようにいかない成人期
参照元 発達障害情報・支援センター
伝えるきっかけ
・本人が困り感や周りとのギャップに気づいたとき
・支援や療育を受けるとき
・学校で注意ばかりされ自己肯定感が下がったとき
我が家の場合小学5年生の1学期のタイミングで伝えたのですが、この頃はとにかく生活の基本的な事ができなくなり、毎日親との争いが絶えず壮絶な日々でした。
当時はオンラインカウンセラーの方に週一面談をしてもらっていただけで、病院にかかっていませんでした。それまでに何度か発達クリニックは受診していましたが、はっきり発達障害の診断はされてはいません。
ただ、2Eであり、発達特性があるというのは間違いないので、本人に伝えてもいいだろうとのことで、このタイミングになりました。
本人が生活で困り感を抱えていて、「イライラしたくないのにイライラしてしまう」「感情のコントロールができない、止められない」と言ったようなことを言ってきたり、いつもポジティブな発言が多かったのに「どうせ俺なんか…」というようなネガティブことも言うようになっていたのも告知をした方がいいと思ったきっかけです。
どこまでどうやって伝える?
当時、カウンセリングをして頂いていた先生に、「誇示して自分のことを話すことも多いが実は自己肯定感が低い」と言われていました。ここで発達の特性のことを話すともっと自信をなくしてしまうかもしれないと思い、どのように伝えたらよいか相談しました。
- 何が得意で何が苦手かを本人にわかりやすいように説明する
- 苦手なことは見方によっては強みにもなる
- みんな得意なことと苦手なことはある
- 発達特性は生まれつきの性質であり、治療とか治すという病気ではないこと
- 自分で特性を理解して受け入れて、今後その特性と自身が付き合っていく方が社会でうまくやっていけるので、このタイミングで説明をしているという告知の目的を伝える
できるだけ丁寧に、時間をかけて母子で話をしました。
気を付けたこと
既に自己肯定感が下がり気味だったので、追い詰めないように気を付けました。
また、「治らない」といった否定的な言葉もなるべく使わないようにしました。
「こういう特性があるから、こうしたほうがいいよ」というように、場面が想像しやすいように具体的に伝えるようにしました。
子供から大人になるにつれて、自分自身を理解し、徐々にアイデンティティーを確立していきます。その過程の中で、親が「あなたはこうだからこうなのよ」というよう決めつけたり、刷り込むことは避けたいと思っていました。
伝えた後の本人の反応
やはりそれなりに落ち込んでいました。「ギフテッド」という部分は小学4年生の頃に知能検査を受けた時になんとなく聞いていたので知っていましたが、「発達障害」と言われるとやはりいいイメージはなかったようで、いつになく静かに聞いていました。
伝えた後、少し冷静に「やだなぁ~」とボソッと言ったのが印象的でした。
それから約一年経った今、日本の公立小学校に通っていますが、同世代の男友達を見ていると、ある程度みんな凸凹があること、特性があること、もちろん何でも完ぺきにこなせる子もいるけれど、みんなそれぞれ苦手なこともあることなどを知ったようです。
発達クリニックの先生もおっしゃっていましたが、だいたい11歳ごろから自分のことを理解できるようになるとのことでした。自身が抱える自閉スペクトラム症のことだけではなく、色んな特性について説明をこの告知の時に同時に話しました。見ているといろんなタイプの友達がいますが、それぞれいいところを見て友達と付き合いをしているのは感心します。
まとめ
いずれどこかのタイミングで本人には告知をするときはきます。その判断をするのも家族です。
特にこの本人告知は伝え方がとても重要です。伝え方がわからなかったり難しければ、かかりつけの医師やカウンセラーの方に相談するときっとアドバイスが貰えると思います。
親がまずはお子さんの特性を受け入れて、どのような特性なのかを理解することも大事です。
一番身近にいる家族が理解者となり、支援者となることで、自己肯定感が下がることなく本人告知を受け入れられると思います。
追記
現在中学生の息子は、通院もカウンセリングも投薬もしていませんが、問題なく生活を送れています。
この1年は学校生活も問題なく終えようとしています。
以前かかっていた医師によると、ギフテッドと発達障害の違いは、発達障害の場合は大人になっても症状がなくなることはないが、ギフテッドの場合は、多少はあるにしても、成長とともに社会脳が発達し、症状が薄れていくことが違いだとおっしゃっていました。
「ギフテッドのあらゆる面での激しさ」「繊細さ」は残っているものの、当時頭を悩ませていた、暴力、時間の感覚のずれなども無くなりました。ASDの傾向にみられる「人の気持ちがわからない」という部分も、学校の担任から「人の気持ちを考えて行動できるようになった」とのお言葉を頂きました。
2Eの定義の曖昧さについてはもう少し様子を見ていこうと思います。